テナガザル・さつきの実験 NO10 2002.04.06(Sat) (3歳4ヶ月齢:さつきの生年月日は1998年11月29日)

天気は晴れ時々曇り、午前9時〜10時まで。

<道具使用>
今回は、J.Povinelli著”FOLK PHYSICS FOR APES”にある、「THE TRAP-TABLE PROBLEM」という道具使用実験を参考にした。
段ボールを使用して、以下のような装置を作ってみた。
左・右どちらかにリンゴ片(food reward)が置いてあるので、置いてある方の道具(rake)を引っ張ってリンゴ片を取得できるかどうか、という課題。

これは正解している

1回目:10回試行して8回成功。
2回目:10回試行して7回成功。
計20回中15回成功(成功率75%)。
この課題は、チンパンジー(6〜7歳)では99%の成功率だったそうだ。

20回中18回以上の成功率になったら次の課題に行くことになる。
次の課題とは、以下のように片方に穴を開けて(リンゴ片は穴に落ちるので取得できない)おき、穴あきでない方を取ることができるかどうかという課題。
1回試してみたが、この道具(rake)では、強く引くと餌が穴を通り過ぎてしまう↓。
これではうまくないので、次回は違う道具(もっと重いもの)を使用する予定。

片方に穴があいていて、反対側には色がつけてある。これは失敗例

<ペットボトル>
次に、リンゴ片入りペットボトル開けを試してみたが、うまく開けることができた。
この技術は定着している。 しかし、この場面↓をご覧下さい。

すでに蓋を開けている(黄色矢印)のに、また入り口をねじっている

つまり、すぐ前に蓋を開けたことを忘れている。
こういうふうに記憶がフッと切れる(あるいは集中力がとぎれると言っていいかもしれない)ことがある。
上の道具使用の実験でも前にやった視線追従実験でも感じたことだが、分かっているはずなのに10回中1〜2回はフッと抜けることがある。
これ(注意力持続の欠如)がテナガの一般的特徴なのか、あるいは、さつきだけの問題なのかはわからない。

さつきの実験No11 2002年4月20日(土) (3歳4ヶ月齢)

<道具使用実験>

リンゴ片の置いてある方のレーキを取るか?
なお、この実験は、Povinelli著”Folk Physics For Apes”のp132〜148を参考にした。

 成功例、だが、ちょっと触ってみるだけ。

8回やって、7回はリンゴ片側のレーキに最初に手を出した。
結果は、○、○、○、○、○、○、○、×。
このレーキは初めて使用したが、少し重かったためか、警戒してしっかり掴まなかった。
"恐がり"、"ビビリ"のさつきさんです。
途中からはリンゴ片よりもレーキそのものに関心が強くなってしまったので、8回で止めた。

それで、穴が開いてない方のレーキを取れるか?という次の課題は次回におあずけとなった。
試しに1回だけやってみたが、失敗した。
次回はレーキを変えて、穴も大きくしてやってみるつもり。
なかなか難しい。

 失敗

さつきの実験No12 2002年4月27日(土) (3歳4ヶ月齢)

<道具使用実験その1>

前回と同じ実験だが、今回は道具(rake)を木製に変えてやってみた。

 リンゴ片の置いてある方の道具を引っ張るか?

これは、8回やって6回成功した。
結果は、○、○、×、○、×、○、○、○。

<道具使用実験その2>

次に、片側に穴の開いた装置(リンゴ片は両方に置く)で試してみた。
穴のない方を引っ張れば成功。

 このように片側に穴があって、リンゴ片が落ちるようになっている。

 これは正解

これも8回やって、6回成功。
結果は、○、○、×、○、○、×、○、○。
さつきさんはこの課題できそう。

<ひもの実験>

ひもで縛ってあるバナナを引き寄せられるか?
これもPovinelliの本(Folk Physics For Apes、p206〜214)に載っていた実験。

 
これは失敗例。

4回やってみたが、成功は1回だけ。結果は、○、×、×、×。
上の写真の例では、この後、左側のバナナ付きひもを引っ張らず、先に掴んだ右側のひもで遊んだ。
つまり、バナナよりひもに興味があったみたいで、さつきにとってはどちらを掴んでもよかったというわけ。
このバナナはプラスチック模型だったが、1回目にかじってみたときにそれに気がつき以後興味を示さなかったのか、あるいは、お腹が一杯で食欲がなかったのが理由ではないかと考えられる。
この実験は、またの機会に挑戦してみるつもり。

<風船あそび>

滋賀県立大・Iさんが持参した風船をふくらませて与えたところ、さつきは子供たちと風船バレーをして遊んだ。
ヒトの子供と遊べるんですね。

 こうやって風船を手でついて、子供たちと風船バレーをした。

<さつきはテレビ画面を見るか?>
前々回から、テレビ画面に映像を映してみて、どういう反応をするか見ている。
この実験は、京大文学部・板倉昭二さんが取り組んでおられるプロジェクトの一環で、私たちは、そのプロジェクトにテナガザルで参加したというわけ。
過去2回は、ほとんど反応がなかった。その内容は、以下の@、Aのとおり。
@4/13(土)朝。ふだん夜寝ている檻の前で画面(14インチテレビ画面)を見せる。
檻(この檻はかなり狭い)から出してほしいという欲求が強く、画面に全く反応せず。
A4/20(土)朝。事務所横の屋根の下(ふだん繋いであるところとは違う)で画面(14インチテレビ画面)を見せる。
モンチッチのぬいぐるみを画面に登場させて、人形劇のように使ってバナナ片を見せるたりするが、周囲の物(自動販売機とかゴミ箱とか)が珍しく、そちらの方に注意が向いて、画面をほとんど注目せず。

今回は、さつきが遊んでいる様子のビデオ画像を音入りで見せたところ、画面(14インチ液晶)に時々注目した。
少しずつ慣れさせれば、テレビ画面を見るようになる見込みが出てきた。そうすれば、モニターを使った実験ができる。

さつきの実験No13 2002年5月11日(土) (3歳5ヶ月齢、さつきの生年月日は1998年11月29日)

朝になってから前日来の雨が上がり、曇りになったので急遽動物園におじゃました。a.m.8:50〜10:30。
天気が悪いのでお客は来ない。それで、さつきは落ち着いて検査に集中できたようだ。

<道具使用実験その1>

前回と同じ実験。これ↓。

 正解

結果は、×、○、○、○、○、○、○、○。8回やって7回正解。

<道具使用実験その2>

片側に穴が開いている。これ↓。

 正解

結果は、○、○、×、○、○、×、○、○。8回やって6回正解。

<片側のカップに食べ物を隠すところを見せて、カップを取らせる>

このように、二つのうち一方のカップにイチゴを隠す。

 片側のカップにイチゴを隠す

 もう一方には何もない

そして、カップを取らせる。

 正解

結果は、○、○、○、○、○、○、○、×。8回やって7回正解。
最後に失敗した時は、さつきの近くに虫が飛んできてそちらに注意をとられ、イチゴをカップで隠すところをしっかり見ていなかったため。

<テレビの画像に注目するか?>
テレビの画面で、さつきがおもちゃを触っているのを録画した場面と、検査者が食べ物を見せて食べる真似をする場面を見せた。
少しずつ画面を見る回数は増えてきたが、1回あたりの持続時間はまだまだ短い。

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