ダナンバレー 2005/12/23〜2006/01/03 No1

(0)はじめに
舞鶴では12/19(月)に60cmを越える大雪が降った。12/22(木)の終業式も雪で、午後からは激しく降った。交通機関はマヒ状態でこのままでは翌日の午前中に関空にたどり着けないかもしれない。KKへの直行便は11:30発だ。それで、大阪に前泊することにした。JRのダイヤは乱れていたが、なんとか19時半に梅田までたどりついた。宿はインターネットで予約した新阪急ホテル。駅に近く、ホテルの前から空港バスが出ていて便利そうだったので。
幸い大阪には雪がなかった。ロッジ駅前店へ行って磁石を買おうとしたが、あいにく20時で閉店していた。大阪にはあまり土地勘がない。どこかで夕食をと思って通りがかりの店を探していたら、新梅田食堂街に迷い込んでいた。ラーメン&餃子で夕食。うまかった。あ、ここで大阪の話をすることはなかったんだ。でも、この食堂街はなんとなく屋台の雰囲気があって、いいなあと感じたもので。屋台はアジアの原点ですからね。
で、話を本題に戻して、ボルネオの話題へ。今回がボルネオ訪問14回目、ダナンバレー(BRL:Borneo Rainforest Lodge)へは12回目(全日追跡日数は55日)となった。旅行の手配は今回もジスコにお世話になった。

今回の調査の目的は、1週間連続追跡しながら音声データを取ること。これまで、2004年夏、2004年冬、2005年夏と連続3回で1週間連続追跡ができたので、今回もできれば、夏(乾季)、冬(雨季)のデータが各2回ずつそろうことになる。これで、乾季と雨季の行動比較ができるだろう。そして、できれば隣の家族との触れ合い(特に音声によるやりとり)を観察したいと考えていた。

BRLに9泊したが、全日滞在は8日間だけだった。
雨季にもかかわらず、今回の調査中、ほとんど雨に降られなかった。じつは雨はよく降ったのだが、午後3〜5時に集中したので、サルの行動する早朝から2時までには降らなかったというわけだ。しかし、だから追跡が容易だったかというと、そうでもなかった。8日間の滞在中、4度も見失ってしまった。これほどテナガザルの追跡が難しいと感じたことはなかった。その大きな要因は、3個体(父、姉、弟の家族構成は変わっていなかった)のうち、幼かった弟が成長し行動が素早くなっていたことにある。テナガザルの追跡はそう簡単ではない。しかし、見失っても、その都度、短時間で発見し、何とか1週間の連続データが取れた。
また、隣の縄張り深く侵入しコールしたこともあったのだが、相手方は現れなかった。これまでの、のべ55日間の全日追跡の中で、コールによる家族間の鳴き交わしが観察されたのは2004年8月3日のものだけだった。そういう意味で、この時のデータは非常に貴重なデータだと言えるだろう。

ところで、BRLの緯度・経度は(北緯5度1分、東経117度44分)なので、日の出・日の入の時刻を、"Worldwide Sunrise, Sunset And Twilight Time Calculator"というHPで検索してみると、以下のようになった。

2005年8月2日(火)
日の出時刻:6:05AM
日の入時刻:6:25PM
2005年12月28日(水)
日の出時刻:6:15AM
日の入時刻:6:06PM

日の出が10分、日の入が20分違っていることがわかる。この差は大きい。
そこで、ロッジ周辺のテナガザルのコール開始時刻とSAPAファミリーの行動終了時刻の平均を取ると下表のようになった。
ロッジ周辺のテナガザルのコール開始時刻には乾季と雨季とでそれほど違いがなかったが、SAPAファミリーの行動終了時刻は8月と12月では大きく違った。雨季の行動終了時刻(泊まり木に着いた時刻)が乾季より1時間以上も早い。
雨季には日の入が早いのに加えて、雨が多く消耗しやすい、また果実量も少ないことが影響しているのではないかと考えられる。
また、雨季・乾季にかかわらず、どうしてテナガザルの行動終了時間が早いのか、その理由について一つの仮説を考えてみた。名づけて”夕立回避仮説”。現地では午後3時以後に夕立が多いので、それまでに行動を終了しておいた方が無駄がなくてよいから(雨の中を行動するのは消耗が大きいから)というもの。

n 平均時刻 n 平均時刻
2004-8月コール開始時刻 7 5時31分 2004-8月行動終了時刻 6 14時46分
2005-8月コール開始時刻 12 5時22分 2005-8月行動終了時刻 9 14時56分
2004-12月コール開始時刻 6 5時27分 2004-12月行動終了時刻 6 13時32分
2005-12月コール開始時刻 7 5時40分 2005-12月行動終了時刻 6 13時10分

(1)活動時間配分
12/26から1/1までの1週間のシギュー(父)のデータ(行動開始時刻から終了時刻までの10分おきの行動データ、だいたい午前6時〜午後2時まで)を集計し、夏のデータとの比較図を作ると、下のようになった。


どこが違っていたかというと、1)groomingが雨季には少ない、2)movingも少ない。またmovingの中で、乾季には遊びといえるような動き(追いかけっこのような)が全体の2%ほどあったが、雨季には皆無だった。そして3)雨季のfeedingの時間が長いということ。
雨季では、移動、遊びやグルーミングの時間を少なめにし、食べる時間は増やしていることが分かる。「雨季→雨が多い→雨に濡れる→体力を消耗する→行動時間を減らし、食べる時間を増やす」ことによって、体力を消耗しないようにしているのではないかと考えられる。また、果実の生産量が雨季には少ないので、活動時間を少なくしてエネルギー消費を減らしているのかもしれない。

(2)行動の軌跡
これまでの4回の1週間連続追跡の軌跡図をまとめて示しておこう。

 

 

乾季に活動的であることは明らかだが、雨季の場合は年によって多少の変動がありそうだ。これは、雨の降り具合や果実の実り具合と関係しているのだろう。

(3)移動順序
移動順序は計36回カウントできた。なお、Fはシギュー(父)、Dはシウンド(姉)、Sはシクサイ(弟)を示す。

1 DSF 11 FDS 21 FDS 31 FDS
2 SDF 12 SFD 22 SFD 32 FDS
3 DFS 13 DSF 23 SFD 33 SDF
4 SDF 14 FSD 24 FDS 34 FSD
5 DFS 15 DFS 25 FSD 35 SDF
6 FDS 16 DSF 26 FSD 36 SDF
7 DSF 17 SFD 27 FDS
8 SFD 18 SDF 28 DFS
9 DSF 19 FSD 29 SFD
10 SDF 20 DSF 30 SFD

ここで面白いのは、シクサイ(弟)が先頭を行く回数が過去3回で大きく増えていること。シクサイが成長とともに活動的になったことを示すのだろう。なお、2005年12月でのシウンド(姉)の推定年齢は6歳9ヶ月齢+α、シクサイ(弟)の推定年齢は4歳9ヶ月齢+α。

先頭を行くもの 2004-12月 2005-08月 2005-12月
S(弟) 1 4 14
D(姉) 0 12 10
F(父) 5 21 12
M(母) 4 - -
10 37 36

誰の後に誰がついていくのかに注目すると、以下の表のようになった。

2005-8月 F D S 2005-12月 F D S
F - 13 14 F - 14 9
D 6 - 19 D 11 - 13
S 10 12 - S 13 12 -

(4)コールのまとめ
シギューは9日間で5日モーニングコールした。2005年7-8月には頻繁にコールしたが、今回はそれほどでもなかった。
滞在中、ロッジ周辺から聞こえてきたモーニングコールを最初に聞いた時刻とシギュー(父)・シウンド(娘)のコール時刻をあげてみると、下記のようになった。なお、天気は午前6時のもので、空に星が見えた場合を晴れとした。

シギューの朝のコール シウンドのコール シギューのコール シウンドのコール シウンドのコール
天気 周辺のコール開始時刻 開始時刻 終了時刻 開始時刻 終了時刻 開始時刻 終了時刻 開始時刻 終了時刻 開始時刻 終了時刻 移動開始時刻 移動終了時刻 備考
12月25日 薄曇り 5:40 6:10頃 6:16 6 6:14頃 6:16 2 6:19 月齢23.5
12月26日 薄曇り 6:01 8:03 8:21 18 11:09 11:28 19 9:00 9:04 4 6:02 13:30 夜半すぎに雨
12月27日 晴れ 5:49 6:04 6:31 27 6:22 6:28 6 6:35 13:30
12月28日 曇り 5:29 5:48 6:16 28 6:04 6:17 13 6:18 13:14
12月29日 曇り 5:46 5:55 6:13 18 7:31 7:36 5 8:39 8:52 13 10:57 11:02 5 6:00 13:20
12月30日 曇り 4:51 5:42 6:14 32 6:08 6:11 3 5:40 12:25 12:00〜12:30小雨、16:00から激しい夕立
12月31日 薄曇り 6:54(Duet song) 6:05 新月
1月1日 曇り 7:21(Duet song) 13:00 前夜20:30に雨
1月2日 晴れ 6:04(1個体のみ) ビューポイントは濃いガス

最後の3日間は全くコールしなかった。12/31と1/1には周辺のmale songも聞こえてこなかった。どういう時に歌わないのか、よくわからない。前日の雨が原因という説もあるが、12/31の前日には夕方に夕立が降ったが夜にはあがっていたし、1/2(1個体が短く歌っただけ)の前日は全く降っていない。

(5)特徴的な音声について
これまでの観察で、ミューラーテナガザルの歌は以下の3つに分類するのが妥当だと思われる。
1.male solo song
夜明け前後(まれに日中にもある)にうたう、縄張り主張や挨拶?の役割がある。
2.female solo song(ファ、ファ、ファ・・・という単調な連続音に続くグレートコール)
夜明け後の午前中にうたう、縄張り主張(警告)の役割がある。
3.duet song(雌のグレートコールの間に雄雌の掛け合いが入る、まれに掛け合いだけの場合もある) 
夜明け後の午前中にうたう、雄・雌(夫婦、父・娘、姉・弟)でうたう、雄・雌(家族)のきずなを深める、また歌うこと自体を楽しむ?などの役割がある。
なお、下線部については私の印象なので、これからハッキリさせなければならない。

私が追いかけているSAPAファミリーの場合は、雄のmale solo songの最後に雌が割り込んでfemale solo songを短時間うたうというパターンが多い。しかし、このようなコールが聞かれるようになったのはプレイバック実験を2002年12月に行って以来のことで、それ以前には聞かれなかった。また、周辺のテナガザル家族からも聞くことができない(まれにはある)。そういう意味でSAPAファミリーに特徴的といえるだろう。female solo songは強い縄張り主張があると考えられるので、SAPAファミリーがプレイバック実験をきっかけに隣の群れとの間に緊張感を持つようになったのが原因かもしれない。もう一つ面白いのは、このパターンがシカサンの失踪後も娘のシウンドに引き継がれていることだ。この事実は、テナガザルのコールが遺伝的に全て決まっているのではないこと、ある世代で獲得されたパターンが次世代に引き継がれることを示していて興味深い。

上記の表のうち、12/26、11:09からのシギューのコールが変わっていた。だいたいこのような日中にmale solo songがうたわれることはまれである。
そのうち、11:22からの30秒間の音声(mp3ファイル)を示そう。
これは、ダナムトレイルの縄張り境界付近で歌ったものだが、どこか弱々しい印象を受ける。
そのソナグラム↓。

 赤い線は1000Hzを示す

ダナンバレー 2005/12/23〜2006/01/03 No2

(6)寝た位置
1週間のねぐらの位置と朝にmale solo songをうたった位置を示す。

赤色●が寝た地点、★マークがモーニングコールのあった地点

(7)果実の位置
果実の実っていた木の位置を示す。この中では、やはりイチジクの木の位置が重要である。イチジクによってテナガザルの行動は大きく左右される。ロッジの前、特にNature Trailには果実が少ないので、そこへは移動していない。

 

上記地点の果実の写真を下に示す。
1.イチジク



2.イチジク



3.イチジク



4.イチジク



5と6.ララン
7.Meliaceae



8.Meliaceae
9.?



10.?



記録:
以下、日付を追って詳しく記載することにしよう。

12月23日(金)
関空発11:30のMH51便は満席だった。
座ったとたん、トランシーバーを持ったおねえさんがやってきて、申し訳ありませんがビジネスに代わってもらえませんでしょうか、と言うので、ぜんぜん申し訳なくありませぇーんと答えて大急ぎで荷物を持って通路を突進した。座ってしまえばこっちのもの。オーバーブッキングはこれで2回目。これは幸先がいい。でも、なぜ先に座っていた私に代われと言ってくれたのか、理由は不明。
5時間のフライトでKK(コタキナバル)に着く。時差が1時間あるので、4時間で着いたことになる。ボルネオは近い。まだ15:30だ。たっぷり時間がある。ベバリーホテルは町はずれにあるのでちょっと不便だ。中心街まで歩いてもたいした距離ではないが、大通りを2つ横切らないといけないのが難点。KKの道路は横断しにくい。最近交通量が多くなってるし。タクシーでセンターポイントへ。道路は乾いていて、雨が降った形跡はない。センターポイント地下で食料品を買った。バナナ、紙パックジュース、りんごなど。

12月24日(土)
早朝のプロペラ機でラハダトゥへ。ラハダトゥも雨は降っていなかった。雨季なのに、いい天気。
新入りガイドのビビアンが迎えに来ていた。

空港は青空だった

空港そばの事務所に立ち寄った後、車で出発。途中の道も乾いていた。11時前、BRLの手前の林道沿いでオランウータン母子を発見。車を降りたら、あっという間に森の中に消えてしまった。警戒心が強い。

 オランウータンがいた木。皮を剥いで内側の柔らかい部分を食べていた。
11:45ロッジ着。昼食時にDonnyが来たので、真っ先に「ロッジ周辺で熟しているフルーツはどこか?」と聞いたが、「ナッシング」という返事だった。雨季なので仕方ないが、それは困った。探しようがない。
テナガザルは午後2時頃までは動くので、食事後周辺を歩いてみたが、気配なし。雨は降らず。

ダナンバレー 2005/12/23〜2006/01/03 No3

12月25日(日)
朝、4時半起き。曇り、三日月がうっすらと見える。
5:40に対岸からコールが聞こえてきたので出動。あてはないがメインロードを北上する。すると、6:10頃、スタッフクオーター(以下SQ)の北東端からシギューのコールが聞こえてきたので、走って駆けつけた。SAPAファミリーはSQの北東端の従業員宿舎裏にいた。8月と同じく3人家族だった。
6:16シウンドのコールが終了し動き始めたので、その木の下へ行こうとしたら、手前に深い溝があり、その向こうがブッシュになっていたのでよじ登るのが難しく、乗り越えるのに少し時間がかかってしまった。ブッシュと格闘してなんとか乗り越え、数分前に確認した木の下で周囲の様子を窺ったが、動きがない。そんな筈はない、動くときには枝がざわつくのに・・・。じっとしている可能性もあるので30分ほどその場で待ったが見つからず、初日はあえなく沈没。がっくり。
10:00ころからポツポツと雨が降り出し、激しくはないが降り続いた。しかし、11:30には止み、その後は一日曇り。どんよりとした空模様で雨季の雰囲気だ。

 ビューポイント、7:50am撮影

12月26日(月)
夜半過ぎに雨が降った。この日も4時半起き。曇り空でうっすらと月が見えた。
5:40頃うっすらと明るくなってきたので出動。特にあてはない。こういう時はローラー作戦しかないな。犬も歩けば棒に当たる。メインロードを北へ進み、折り返して来たところ、6:02ロッジ前の道路沿いで発見。枝が落ちる物音がしたので分かった。ラッキーとしかいいようがない。昨日の失敗があるので、絶対に見失わないぞという強い気持ちで追いかけた。何よりも集中力が大切だ。
この日はよく動いた。トレイル沿いに東に移動し7時18分にSQ東を折り返し、メインロードに9時着。
8:03-8:21SQグランド東でDuet song(グレートコール)があったが、これは対岸のDuetの反応したものだった。9:00-9:04にもメインロードを横切ったところでシウンドがグレートコールした。この時、じつは見失っていたが、このコールで見つけることができた。最も観察しやすいSQのへりで見失うとは、ショックだった。その後、ネイチャートレイルを横切り、9:56にホーンビルトレイルへ。さらに北上し11:09-11:28にシギューがコールした。縄張り境界なので、隣の家族を意識したものかもしれない。このコールが始まる直前にダナムトレイル奥でサイチョウのホーホーという声が聞こえた。この日は11:30頃に一時的に晴れたが、それ以外は曇り空だった。シギューのコール後、向きを東に変え、さらに南へ向かってトレイルに戻り、あとはトレイル沿いに北上し、13:30に泊まり木についた(250m地点)。トレイルを挟んで西側に13:40-14:00に北からオランウータンの母子がやってきた。チーチーとさかんに威嚇した。その後、ロッジへ帰ったら14:00過ぎから夕立があり、16:30まで降り続いた。



12月27日(火)

午前05:00に昨日の泊まり木へ。05:19食べかすの落ちる音がしたので存在確認ができた。05:45少しずつ明るくなってきた。05:49対岸からモーニングコール(male solo song)が聞こえてきた。06:00頃には周囲でコールがにぎやかになってきた。シギューは06:04からコールを開始し、06:31で終了した。明るくなってきたので歌っている姿をビデオ撮影することができた。06:22〜06:28にはシウンドのグレートコールが挿入された。その後、交差点北西にあるイチジクの大木に06:50〜07:24まで滞在した。イチジクは一部熟しかけているようだ。そして樹上高いところを東へ移動したが、そこで見失ってしまった。縄張りの縁だったので、まさか北へ移動したとは思わず、東と南の方ばかりをチェックしていたのが悪かった。仕方ないので、トレイルを東へそしてメインロードに出てまたイチジクの大木へ戻ったところで08:30頃Donnyと合流した。そこでしばらく周囲を歩いた後、ホーンビルトレイルを北上することにした。ひょっとしてと考えて北へ進んだが、トレイルの900m地点北側で10:23に発見。追跡を再開した。北東の方角へ移動し、Meliaceaeの木で10:28〜10:34まで採食後、すぐ隣の熟した大きなイチジクの木に10:37〜12:09まで長時間滞在し採食した。このイチジクの大木をめざして遠征してきたようだ。



イチジクの木の下で、イノシシのベッドを発見(↓左写真)。Donnyによると、子連れの母イノシシがこの上で寝るのだそうだ。上手につくってあった。周辺の木の枝を折った後があり、折った枝が敷き詰めてあった(↓右図)。これはイノシシの道具使用と言えそうだ。この時は晴れていた。



イチジクの木に滞在後、休憩したりグルーミングしたりしながら少し移動し13:30動かなくなった。この時、そばの高木にでかいオランウータンの雄がいた。14:00〜16:00まで夕立があり、その後17:30には晴れた。

12月28日(水)

曇り、あたりはガスっている。05:25に泊まり木着。05:48からシギューのコール開始。ここは隣の縄張り内部なので、Aグループの反応が期待できるかなと待ったが、現れず。06:04からシウンドのグレートコールが3回挿入され、06:17終了。その後、昨日のイチジクの大木へ行き、07:00〜07:36まで採食した。この時、12/26に出会ったオランウータン母子もこの木にいて遠くからこちらに向かってさかんに威嚇音を出していた。その後複雑なルートを通って休憩したり若葉を食べていたが、08:26〜08:37北方からグレートコールが聞こえてきた。SAPAファミリーはこれに反応して聞こえてきた方向へ少し移動し08:50まで休憩した。その後、若葉を食べながら移動し、09:22ホーンビルトレイル775m地点を西に横切った。そして、09:30〜10:05までMeliaceaeの実を食べた。この頃晴れていた。775m地点に10:15に再度戻り、トレイル沿いに南下した。675m地点で10:22〜10:43まで休憩し、少し南西に移動し10:45〜11:07まで若葉を食べた。525m地点には11:50、500m地点には12:30に通過。イチジクの大木に12:30〜13:10まで滞在し採食した。イチジクはだいぶ熟してきたようだ。13:14に泊まり木に着き動かなくなった。この日も14:15から夕立があり、16:00には晴れた。



 
10:00頃、Maleaceaeの実を食べる

12月29日(木)


曇り。夜中には雨は降らず。5:55〜06:13シギューのモーニングコール。シウンドのコールは挿入されなかった。雄のモーニングコールはいつも同じ場所にじっとして歌われるわけではない。ゆっくりブラキエーションしながら歌ったり、果実を食べながら歌ったりする。その様子がビデオに撮れた。シギューは歌いながら移動し、06:05にはイチジクの木に着いた。それから07:16まで採食。その後、南西へ移動し、07:27に東へ向きを変えたが、そこでシウンドがグレートコールした。近くにレッドリーフモンキーがいたのでそれに対する威嚇のように感じられた。08:39から1分間シウンドが2回グレートコール。このコールの意味は不明だが、他の二人と少し離れていたので呼んだのかもしれない。09:13にメインロード450m地点北側のイチジクの木に到着。赤くかわいい実だ。09:40まで採食。ここで京都生物教育会のメンバーと出会う。SQ北で09:51〜10:29まで若葉を食べる。その後森の中へ入って追跡。10:57〜11:02まで短時間シウンドが3回グレートコールする。その後、11:23〜11:47まで遠くからデュエットソング&グレートコールが聞こえてきた。11:35にメインロードを西に横切り南へ。11:40ネイチャートレイルからメインロードを東へ横切り、11:40〜12:20まで三叉路東にあるラランの木の実を食べる。その後SQ南へ。13:00にイチジクの木(これも赤色)に着き、13:20隣の木で動かなくなった(14:00まで確認)。この日は14:00頃小雨が降っただけで夕立はなかった。



 09:00頃のジャンプ

 09:13〜09:40まで滞在したイチジクの木

 11:41シクサイのうんち

11:00過ぎ、シウンド

12月30日(金)

05:30、枝の落ちる音がして居場所がわかった。05:42〜06:14までシギューのモーニングコール。06:08〜06:11までシウンドのグレートコール。05:40〜06:50まで泊まり木そばのイチジクを食べてから北へ移動しSQ横の発電器の裏にあるイチジク(?)の木で07:51〜08:30まで休憩しながら採食。その後、森の中へ。トレイルSB2西で09:29〜09:55までグルーミング。そのうち09:40〜09:48までは3人がくっついてサル団子になった。その後、西へ移動し、10:25メインロード600m地点に着く。11:48まで蔓や葉を食べた。この時、11:17〜11:33まで、対岸(南方)からデュエットソングが聞こえてきたが、これはグレートコールのない雄と雌の掛け合いだけの歌だった。この歌は夏にも同じ方角から聞こえてきたので、あるグループに特有の歌と言えそうだ。この歌は昨年以前には聴いたことがないし、SAPAファミリーは歌わない。聴いていると仲良くラブソングをうたっているように感じられる。700m地点に12:02着。12:25に動かなくなった。12:00から雨になり、12:30に小雨になりすぐ止んだ。その後は降らず、15:00には晴れた。



 09:45グルーミングとサル団子

12月31日(土)

早朝は星が一部見える曇り空。05:48にバサッという枝の落ちる音がした。06:05に動き出した。周辺でコールは全く聞こえなかった(06:54〜07:05に短いデュエットソングが遠くから聞こえたのみ)。トレイル沿いに西へ向かった。途中、トレイル中間地点北の大木で06:52〜07:22まで何かの実を食べた後、07:47にイチジクの大木に着き(シギュー、シクサイ、シウンドの順で)、10:52まで約3時間も休憩しながら採食した。ここで、京都生物教育会の皆さんと出会った。このイチジクの大木は縄張り境界にあるので、隣のAグループとの接触が観察できるかと期待したが、Aグループは現れなかった。その後、北西に向かい11:33〜11:58までイチジクを食べて後12:00に動かなくなった。12:30まで動かず。昨日12:25に行動を止め、しかも近くにイチジクの大木があるので、ここで寝ておいて翌朝はイチジクを食べるつもりかなと考えてここで追跡を止めたが、もう少し頑張るべきだった。翌朝ここにはいなかったので。翌朝07:00にメインロード450m地点で発見したので、下図点線のように移動し、?地点で寝たものと思われる。これで見失ったのは4回目。
ダナムトレイルからホーンビルトレイルの間の森にはマレーグマが生息している。12:00の地点でDonnyが見つけた。



1月1日(日)

曇り。05:35に昨日の12:00地点へ。真っ暗なジャングルの中を、めざす地点に正確にたどり着くのは難しい。

テナガザルが寝た木に、翌朝暗いうちにたどり着けるかどうか、それが熱帯雨林での追跡では重要な問題になる。午前5時頃の森の中は真っ暗で、ヘッドランプで周囲を見渡しても同じような木がはえているばかりの光景で、下手をすると迷って森から脱出できないということもありうる。精密な地形図があれば問題ないが、そんなものは期待できない。GPSもあとからデータとして取り出す際には有効だが、現場ではそう役に立たない。
こういう場合には、磁石だけがたよりになる。ただし、角度が測定できる目盛りのついているものでないとダメだが。地質調査の原理を応用してトレイルに戻るルートの走向を磁石で測りながら歩く、しかもその距離を歩数で概算する、これでだいたいはたどり着けるが、まだ十分ではない。ルート沿いに目印を残しておかなくてはいけない。例えばルートの両側にある木の枝を外側に折っておくとか、ルート沿いの太い幹の一部にナイフで印をつけておくなど。これで、完璧だ。今は、この方法でほぼ確実にたどり着ける自信がある。

06:30まで待機したが、動きはなし。しかし、深い森の中でひとり夜明けを待つというのは素晴らしい体験だった。虫や鳥の声が時間とともにダイナミックに変化していく。テナガザルはいなくても幸せなひとときだった。ま、ここにいなくてもきっとイチジクの木で朝食をとっているだろうと06:40〜07:00までイチジクの大木の下で待機したが動きがない。ガッカリしてロッジへ帰ろうとしたら、トランシーバーで連絡があった。メインロード450m地点北のイチジクの木にテナガザルがいるという。すぐさま駆けつけたら、いた。もうダメかとあきらめていたので、うれしかった。
この日もモーニングコールはなかった(シウンドのコールも)。07:21から対岸でデュエットがあったのみ。この日のルートは12/29とほぼ同じだった。07:12にイチジクの木を出てSQの北側の森を移動して再びメインロードを08:07に横切った。ロッジ前の三叉路にあるラランの木で08:30〜09:16まで休憩しながら採食。王様の家の東にあるイチジクの木に10:56着き(この時はシクサイ、シウンド、シギューの順)12:17まで採食。そして発電器の裏へ13:00着、動かなくなった。



12:00カワリサンコウチョウ

1月2日(月)

深いガス。朝のコールだけは録音しようと、昨日13:00の地点へ。しかし、この日もモーニングコールはなかった。泊まり木そばのイチジク?を採食後、06:25に動きだし07:35に王様の家の東にあるイチジクの木に着いたところで、追跡を終了。
ロッジを09:15発、11:45ラハダトゥの事務所着。途中激しい雨に降られた。午前中の雨は珍しい。翌1/3、06:40に着いた関空の気温は7℃だった。寒っ。

ラハダトゥ空港の待合室で昼食。4リンギ。

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