ダナンバレーNo3
ミューラーテナガザルに対するplayback実験(2002年12月26日〜2003年1月2日)その1

まえがき
今回のダナンバレー行きの大きな目標は、テナガザルのモーニングコール(male solo song)の最中に、これまでに録音しておいた声(自身や隣人の)を聞かせてみて、どういう反応をするのかみてやろうというものだった。

これまで、ミューラーテナガザルに対する声のplayback実験は、Mitani J.C.(1985a) が東カリマンタン・クタイで実施している。その実験の要約を下記に示す。
まず、デュエットコール導入部のfemaleによる”wa”syllables、それに続くfemaleとmaleによる”wa”と”hoo”の掛け合いsyllanles、そして最後のfemaleによるgreatcall2つ、これらを3分に編集したものを使用し、その再生コールの主も、自分自身、隣りの縄張りのテナガ、そして見知らぬテナガと3種類用意された。それを縄張り境界から20m内部に入った所で、テストされるテナガ家族から100〜150m離れた位置から聞かせた。そして、再生コールに対する反応を、1.Orientation 2.Brachiation displays 3.Approaches 4.Duetting 5.Alarm vocalizationsの5項目について調べた。その結果、自身、隣人、未知の3者の声に対する反応に明瞭な違いが見いだされなかった。ただし、3者のどの声に対しても、「音源の方向を向く(100%)、デュエットコールをかえす(70〜90%)」という反応が、高い確率で見られたという。

Mitani氏の実験は、無言のテナガ家族にデュエットコールを聞かせてみるというものだったが、私の関心は別のところにあって、テナガがモーニングコールで隣人と会話しているのではないか、その証拠を見つけられないかというものだった。もしも会話的要素があるのなら、自分のコールのペースやコールのパターンを、スピーカーから流れる声のペースやパターンに合わせて変えるかもしれない。

そこで、これまでに録音したモーニングコールとデュエットコールを短く編集して聞かせることにした。その内容は、
T.自分自身(male)のモーニングコールの前半部(simple call)
U.自分自身(male)のモーニングコールの後半部(complex call)
V.隣の縄張りに住むテナガザル(male)のモーニングコールの前半部(simple call)
W.隣の縄張りに住むテナガザル(male)のモーニングコールの後半部(complex call)
X.自分たち(夫婦)自身のデュエットコール

これを各2分ずつ計10分間に短くまとめたテープを持参した。そして、T〜Xを連続して聞かせてみることにした。この実験に使用したラジカセはPanasonicのRX-ES50で、実験の様子はDAT walkman (Sony TCD-D100)にマイク (Sony ECM-MS907)を装着して録音した。本当のテナガの声は1km先までも届く大声だが、このラジカセでは、もちろんそんな遠くまでは聞こえない。それで、すぐ近くで聞かせることにした。

<実験A>モーニングコールの最中
12月27日(木)朝、05:47からコール開始。青色●Aの地点(Fig. 1)。うっすらと空が明るくなってきたが、まだかなり暗かった。ヘッドランプで現場へ急ぐ。ロッジのすぐ前だった。05:54から聞かせてみた。場所はコールしている木の真下。Tが始まってすぐ、コールが約1分半とだえ沈黙した。そして、Tが終了してから30秒後にテナガはコールを再開した。その後、U〜Xを2分間隔で続けたが、このplaybackは無視してコールが続いた。ただ、Xの最中に、1個体(暗くて誰かは分らない)が様子を見に降りて来た(近くの枝がざわついた)。それで、06:20から再度Tから繰り返してみたら、Vのところで、再度1個体が降りてきた。そして、突然コール(male solo song)が中断し、femaleの、ファッ、ファッという長いコールが続き、最後にgreatcallに変化した(1回のみ、この一連のコールは2分間)。その後沈黙したので、Wを再生したがコールの反応はなかった。それからすぐに、彼らは実験地点(=コールした地点)から離れて、北西方向へ移動していった(Fig. 1)。


Fig. 1. Travel route on 27 December 2002.

<実験B>コールのない時
これまでの経験では1週間滞在して2度モーニングコールを聞いたことがなかったので、もうコールはないだろうと考え、コールのない時にも聞かせてみようと、12月30日(日)の08:27〜08:35までT〜W(Xのデュエットコールはカットした)を連続して聞かせてみた。青色●Bの地点(Fig. 4)。再生地点(ラジカセ)とテナガとの距離はおよそ15mほど離れていた。なお、再生地点から彼らの姿は見えなかった。
8分の再生時間の間、テナガはじーっとしていた。「固まってしまった」という感じ。それから、再生が終了すると、すぐ(1分以内に)東方へ(つまり、再生地点から離れる方向へ)移動した。しかし、従業員宿舎の横で引き返し(10:50)、11:33にもとのB地点にほぼ一直線に(寄り道せず、たった40分で)戻ってきた。そして、イチジクを食べながらそこに1時間滞在した。やはりplaybackのコールが気になったのかも。


Fig. 4. Travel route on 30 December 2002.

<実験C>モーニングコールの最中
これは予想外だったが、実験Bの翌日、12月31日(月)にモーニングコールが05:50から開始された。ロッジのすぐ前の木だった。青色●Cの地点(Fig. 5)。すぐさま駆けつけ、playback実験を開始。場所はコールしている木の真下。06:02からT〜Xまでひととおり聞かせた(今回は間隔を空けず連続して聞かせた)が、無視してコールが続いた。ところが、突然6:24にコールが途絶えた。それで、もうコールは終わったと思って様子を見ていると、06:34に突然再開、06:54まで続いたが、最後は実験Aと同じくfemaleのファッ、ファッという連続コール(2分間)のあと、greatcallに変化した。greatcallは2回あった(終了06:58)。
なお、この日の午前中、09:21〜09:35にも東の川沿いで14分間、duetcallをした。この時のgreat callは2回。


Fig. 5. Travel route on 31 December 2002.

<3回目のモーニングコール>
1月2日(木)、青色●C地点と同じ場所で、コールした(Fig. 6)。時刻は05:35から。しかし、突然雨が降り出したため、06:10に中断した。2日後に同じ木でコールするというのは珍しいことだ。二日前12/31のplayback実験が引き金になった可能性がある。


Fig. 6. Travel route on 2 December 2002.

playback実験観察のまとめ
<モーニングコール最中の再生実験(A、Cの2回)について>
@モーニングコールのそれぞれのphraseに対応しての若干の反応があった(詳しくはNo2参照)。
Aモーニングコールの最後は、femaleのduetcallで終了した。
B実験Cの2日後に、同じ木でモーニングコールした。

<コールのない場合の再生実験(B)について>
@コールに対して攻撃的に向かってくることはなかった。じっと静かに聞いていて、終了するとその地点からそっと離れていった(08:54)。しかし、2時間半後(11:33)に再生実験地点に戻ってきた。

playback実験観察についての考察
5種類の違った再生フレーズに対して、異なった声の反応を返すということは確認できなかった。
コール中のplayback実験で最後にduetcallで終了したのは、Mitani J.C.(1985)の実験結果(duet callにはdeuet callを返すという)と類似している。
これまでの観察では、一週間に1度しかモーニングコールを聞かなかったが、今回は12/27、12/31、1/2と、3度もコールを聞いた。特に3度目は2度目のコールの2日後で、しかも同じ木だった(過去26日間の滞在中、こんな短い間隔でコールしたことは今までに一度もなかった)。また、経路図のまとめ(Fig. 9)を見ると、頻繁にPlayback地点周辺(縄張りの南西のすみ)を訪れたことがわかる。これは、playback実験が引き金になったと考えられる。その地点に侵入者がいるかもしれないと考えて頻繁に訪れ、コールしたということだろう。また、再生コールに対しては近づいて覗くことはあったが、攻撃的ということはなく、実験終了後すぐに再生実験地点から遠ざかっていった。

 青色地点がplayback実験をした地点を示す。
Fig. 9. Travel routes (in red) and playback points (blue)
and home range (light green polygon)


この結果、コール(male solo song または duet call)に何らかの縄張り主張が込められていることは分った。が、それは攻撃的なものではなく、「鳴くことによってお互いの侵入を抑制する」効果を期待したものだと考えられる。これは、テナガザルの直接的なわばり争い(体を触れ合った闘争)を目撃した事例が少ないこと(河合雅雄著「人間の由来」p70より: ”身体接触をともなう戦いは、カーペンターは、調査中に1回観察しただけ、エレフソンは、126回のなわばり争いのうち、やはり1回見ているにすぎず、また、ギッティンスはアジルテナガザルで一度も見ていない。”)からも支持される。
テナガザルは慎み深いサルだといえるかもしれない。つまり、テナガのコールは、「私達がここにいるから来ないでくれ」という意味が込められていて、コールを聞くとそこへは侵入できないように遺伝的にあらかじめインプットされているのではないか。そうして無用な争いを避けているのではないだろうか。だからこそ、あり得ない時にあり得ない場所で再生コールが聞こえた(自らがコールしているすぐ側でコールするテナガはいないだろうから)時、彼らは混乱し、その場は遠ざかるという行動で反応したが、後になってその場所を何度も訪れモーニングコールを頻発した(縄張りを主張した)のではないかと考えられる。

しかし、別の考え方もできる。
テナガザルはplayback実験の現場を目撃し、そこに別の縄張りのテナガザルがいないことを知って、音源にアプローチせず去っていったのではないか?そうだとすると、playback現場ではテナガザルを見つけられなかったのでアタックしなかったが、後になってヒョッとしたらどこかに潜んでいたかもしれないと思い直し戻ってきたことになる。テナガがそのような思考をする可能性はあるだろう。

後日、Mitani J.C.(1985b)によるmale songのplayback実験についての論文を読んだ。
それは、@縄張り中心、A縄張り境界とB隣の縄張りの3ヵ所から、maleの歌を聴かせた場合の反応を調べたものだった。その結果、いずれの再生コールに対しても、コールの方向を見る(100%)という反応が引きおこされた。また、@縄張り中心からの再生コールに対しては、家族の静かな接近(音源方向への)を雄が導いた(76%)。A縄張り境界からの再生コールに対しては、若干の接近(30%)とデュエットコール(40%)が引きおこされた。B隣の縄張りからの再生コールに対しては、接近はなく、まれにデュエットコール(17%)が引きおこされた。
この結果は、今回の私の実験結果(音源にアタックしないという)と矛盾しているようだ。しかし、Mitani J.C.の実験では、音源とテナガ家族との距離が100〜150m離れた状況で実施されたので、単純な比較はできない。100m程度の距離なら音源に近づいていくが、間近の音源なら離れていくということかもしれない。
また、デュエットコールが高い頻度で引き起こされたということは、私の実験と共通している。

次に、実験中に録音したコールについて、もう少し詳しく検討してみよう。

Reference
Mitani J.C.(1985a):Responses of gibbons (Hylobates muelleri) to self, neighbor, and stranger song duets. INTERNATIONAL JOURNAL OF PRIMATOLOGY. 1985. 6(2). Pgs: 193-200

Mitani J.C.(1985b):Location-specific responses of gibbons (Hylobates muelleri) to male songs. ZEITSCHRIFT FUER TIERPSYCHOLOGIE. 1985. 70(3). Pgs: 219-224

ダナンバレーNo4
ミューラーテナガザルに対するplayback実験(2002年12月26日〜2003年1月2日)その2


ミューラーテナガザルのコールについて
まず、ミューラーテナガザルの一般的なモーニングコール(male solo song)について初めに説明しておこう。。
テナガザル(Hylobates muelleri )のモーニングコール(male solo song)は、1週間に一度くらいの頻度で起こる。コールは夜明け前後から始まっておよそ40分〜60分続く。Haimoff E.H.(1985)によると、そのコールの前半は”ファッ、フォー、ファッ”というようなシンプルなもの(short phrase)で、後半は、”ファ、ファ、ファ、ファ、ファ”という連続した震え音(trill)が含まれるやや複雑で長いもの(long and complex phrase)に変化する。ここに、2002年夏に私が録音した音声とソナグラムがあるので参照されたい。

なお、連続した震え音(trill)には、先頭に来るもの(下図のA)と、後ろに来るもの(下図のF)の2種類ある。
典型的なphraseを下図に示す。このソナグラムは2002年8月4日、午前5時47分のものである。


そこで私は、ミューラーテナガザルのモーニングコール(male solo song)のphraseを以下の4つに分類してみた。上のソナグラムの場合は[A&F]タイプに分類される。

[S}タイプ:simple phraseでAもFも含まないもの
[A]タイプ:complex phraseでAのtrillを含むもの
[F]タイプ:complex phraseでFのtrillを含むもの
[A&F]タイプ:complex phraseでAもFも含むもの

[S]タイプの例は、(8/4,5:05:35)

[A]タイプの例は、(12/31,6:41:20)

[F]タイプの例は、(12/27,6:06:35)


下記に、今回の実験および2002年8月に録音したモーニングコールのphraseの時間的変化をグラフ化して示した。

1.2002年8月4日のコール(平常のコール)


このように、シンプルなコールから次第にtrillを含む複雑なコールに変化していくことがわかる。さらに、1分当たりのコール数は平均して4回前後である。
平常のコールはこのようなパターンであるということを念頭において、今回の実験の結果を分析してみたい。

2.2002年12月27日(実験Aのコール)
今回のplayback実験に使用した(聞かせた)声をもう一度示しておく。
T.自分自身(male)のモーニングコールの前半部(短いコール、simple phrase)
U.自分自身(male)のモーニングコールの後半部(長く複雑なコール、complex phrase)
V.隣の縄張りに住むテナガザル(male)のモーニングコールの前半部(simple phrase)
W.隣の縄張りに住むテナガザル(male)のモーニングコールの後半部(complex phrase)
X.自分たち(夫婦)自身のデュエットコール

その結果は、以下のとおり。なお、T’、U’、V’は、T、U、Vの2回目の再生実験を示す。

一見して、1分当たりのコール数にばらつきがあるということがわかる。再生コールを聞かせている間は少なく、終了すると増えるという傾向が見られる。それに[F]パターンが早い段階から多い。
T・U(自分の声)とV・W(隣人の声)に対する反応に違いがあるかどうかについては、これだけでは何とも言えない。

3.2002年12月31日(実験Cのコール)

この日は、T〜Wまで連続して聞かせた。WとXの間もわずか1分(テープを巻き戻した時間)だった。
目立つのは、最初から1分当たりのコール数が多かったことと、実験X(自身のデュエットソング)前後から急激にコール数が減少し、ついには黙ってしまったこと。11分後に再開してからは、[A&F]パターンが多かったことがあげられる。
この日は、実験開始からXまで、周囲からいくつかのコールが聞こえていた。前半に多いのはそれらに反応していたのかもしれない。
T・U(自分の声)とV・W(隣人の声)に対する反応に違いがなかった。

4.2003年1月2日(実験なしのコール)

雨が降りだしたため6:07でコールは中断した。この日はplayback実験をしていない
まず、この日のコールが12/31に実施したplayback実験の二日後だったということが異常である。普段ではあり得ないことである。また、[F]パターンが最初から多いのが目立つのと、分当たりのコール数がやや少なめで安定しているのが特徴としてあげられる。

録音テープを解析してのまとめ
実験Aでは、コールが非常に乱れた。再生コールが流れている間は声をあまり出さず、終了すると声を出すという傾向が読みとれる。また、早い段階からcomplex phraseが増えている。
実験Bでは、playbackX以後コール数が減り、ついには黙り込んでしまった。再開したコールは、平常時の後半のコールとよく似ている。
1月2日のコールは、普段に比べて、早い段階からcomplex phraseが増加した。

若干の考察
実験AとCでは、結果の様相が少し違った。実験のプロセス(連続的に聞かせるか、時間をあけて聞かせるか)が違うので何とも言えないが、これはテナガの心理状態を反映しているのかもしれない。12月27日の初めての体験(コールしている真下から声が聞こえてくるという)では、驚いてしばし声が出なかったが、少し慣れた12月31日には、出だしでペースを乱さなかった。しかし、X(デュエットコール)には強く反応した。なぜ黙り込んだのか。おそらく侵入者に対しては追い出そうとアタックをかけるのだろうが、侵入者がどこにも見当たらないので、とまどって黙ってしまったのか?それとも、・・・。
AとCの実験の最後がデュエットコールで締めくくられたということと考えあわせると、デュエットコールに縄張りソングとしての役割が強く含まれていると言えるだろう。
1月2日は、前回のコールから二日目だった。しかもplayback実験を実施した木と同じ木でコールした。これは、明らかに何らかの警戒コール=縄張り主張が込められていると考えるべきだろう。そのコールに初めからcomplex phraseが多く含まれていた。
Complex phraseには”ファ、ファ、ファ、ファ、ファ”という連続した震え音(trill)が含まれる。これはデュエットコールの連続音とよく似ている。そこで、連続音(trill)に縄張り主張が込められているのではないかという仮説が成り立つ。
テナガザルコールのそれぞれのフレーズについて、それが何を意味しているのかを解明するためには、更に実験・観察を継続してデータを積み上げなければならないだろう。

次ページでは、いくつかの特徴的なphraseをピックアップしてみよう。

Reference
Haimoff E.H.(1985) :The organization of song in Mueller's gibbon (Hylobates muelleri). INTERNATIONAL JOURNAL OF PRIMATOLOGY. 1985. 6(2). Pgs: 173-192

ダナンバレーNo5
ミューラーテナガザルに対するplayback実験(2002年12月26日〜2003年1月2日)その3

ここでは、テナガザル家族に対するplayback実験の結果について、音声やソナグラムデータを示して、もう少し詳しく記載してみる。

<写真(省略)>Duet callするmale(12/31午前9時23分)

<実験A>12/27早朝、ロッジに近いフタバガキの木の下
モーニングコールは05:47から始まった。録音は05:54から開始、playback実験は05:56から開始した。
この実験時にテナガが発した声の中で、再生し終わった直後のものだけを以下に示してみた。Tをのぞいて、全てcomplex phraseだった。そして最後はデュエットコール。

<T>(再生時刻:05:56:04〜05:58:00)直後のコール。実験前に、テナガはsimple phraseを発していた。
再生実験T直後に発した声:そのソナグラム(縦軸の単位はkHz)↓

これもsimple phraseだが、雰囲気がいつもの声とちょっと違う。こんなファッ、ファッ、ファッという連続音、段々と大きくなっていく声は珍しい。

<U>(再生時刻:06:00:39〜06:03:00)直後のコール。実験前に、テナガはsimple phraseを発していた。
再生実験U直後に発した声:そのソナグラム↓

この時、Uのcomplex phrase誘発されたのか、震え音(trill)を発した。
この次のコールも震え声を含んでいたが、その後は元のsimple phraseに戻った。

<V>(再生時刻:06:04:39〜06:06:28)直後のコール。実験前に、テナガはsimple phraseを発していた。
再生実験V直後に発した声:そのソナグラム↓

これ以後はcomplex phraseが増えた。
隣人のsimple callに対してはsimple phrase →complex phraseと反応したことになる。
ただ、この時間帯はコール開始から約20分経過しているので、本来complex phraseに移るべき時間帯だった可能性もある。

<W>(再生時刻:06:08:21〜06:10:27)直後のコール。実験前に、テナガはcomplex phraseを発していた。
再生実験W直後に発した声:そのソナグラム↓

これは隣人のcomplex callにcomplex callで反応したということ。以後もcomplex callを連続して発した。

<X>(再生時刻:06:12:13〜06:14:45)直後のコール。実験前に、テナガはcomplex phraseを発していた。
再生実験X直後に発した声:そのソナグラム↓

これは、自身のduet callに対して、complex phraseで反応したということ。以後もcomplex phraseを連続して発した。

<T’>再度Tを聞かせてみた(再生時刻:06:20:16〜06:21:01)。実験前に、テナガはcomplex phraseを発していた。
再生実験T’直後に発した声:そのソナグラム↓

Tのsimple phraseに反応するかと期待したが、complex phraseだった。以後もcomplex phraseを発した。

<U’>再度Uを聞かせてみた(再生時刻:06:22:34〜06:24:56)。ここまでテナガはcomplex phraseを発していたが、このU’直前のコールだけがsimple phraseだった。
再生実験U’直後に発した声:そのソナグラム↓

これも、complex phraseだった。このまま終了かと思って聞いていたら、・・・。

<V’>再度Vを聞かせてみた(再生時刻:06:25:25〜06:27:15)。実験前にはcomplex phraseを発していたが、この再生実験の最中に変化が起こった。
突然simple phraseが発せられた。そのsimple phrase(06:26:12):
それに続いて、06:26:36からfemaleのファッ、ファッ、ファッというコールが開始された。これはduet callの導入部だった。この時、まだV’の再生中だったので、隣人のsimple phraseとfemaleのduet call導入部とmale solo songが一部混在して聞こえた。
その後、コールはgreat callに移った。その部分:ソナグラム↓(great callの開始部のみ)

このソナグラムの部分(great call)では、maleとfemaleの声が同時に発せられている。まさにデュエット。
なおGreat callのクライマックス時には、セミや鳥の鳴き声も盛り上がって大合唱になることがしばしばある。
この後、W’を聞かせたが、反応なく実験地点から遠ざかっていった。

<実験C>
12/31早朝、ロッジ前のフタバガキの木の下
モーニングコールは05:50から始まった。録音は05:58から開始、playback実験は06:02から開始した。
まず、実験Tの直前の声から、アップしておこう。
<Tの直前>の声:(60034)ソナブラム↓

<WとXの間>の声:(61139)ソナグラム↓

<X直後>の声:(61543)ソナグラム↓

<中断時>前の声:(62407)   後の2番目の声:(63603)
<最後のデュエット>導入部:(65602)  greatcall:(65644)

ダナンバレーNo6
テナガザル写真集
 2002年12月26日(水)〜2003年1月3日(日)早朝まで ダナンバレーにて

<写真集>
まずは、テナガザル家族の写真。上の段は左から、父と母。下の段は左から、姉と弟。
母は妊娠中でおなかが大きい。

父 

姉 

レッドリーフモンキー(Presbytis rubicunda)。テナガザルと遭遇したが、お互いに接触を避けた。
このリーフモンキーの集団も、父母に子供2人の4人家族だった。縄張りを持っているし、生活形態がテナガとそっくり。

ダナンバレー2002/12〜2003/1 No7 付近の地形など

ロッジ横の河原の様子。雨期にもかかわらず水量が少ない。手前側には枯れ葉(腐葉)がいっぱい積もっている。向こう側にはレキが堆積している。流れのゆるいところには軽いものが堆積し、流れの速いところにはレキが堆積する。蛇行河川ではこのように同じ洪水による堆積物でも、水平方向に層相が変化するので注意が必要だ。



そのレキ層の様子を見てみよう。レキの下流側(左側)が持ち上がっていて、そのまま将棋倒しのように重なっている。これをインブリケーションという。地層中にこのような構造が見られると、古流向が推定できる。

 右から左への流向を示すインブリケーション

さらに、そのレキを割ってみると、下図のようだった。結晶構造が見えるので火成岩、色が黒っぽいので塩基性、結晶の大きさから半深成岩だと推測される。ハンレイ岩に見えるけど。90%以上がこのレキだった。上流の地層が推定できる。

 ハンレイ岩にしては細粒すぎるか?

ロッジの建っている高台の断面が見えた。段丘レキ層だ。これは低位段丘に対比されそうだが、確証はない。

 段丘レキ層

キャノピーの上から見たドリアンの木(中央)。もちろん実はなっていない。2002年夏には実があったんだけど。



ダナンバレーからラハダトゥへの道を、木を満載したトラックが次々と走っていく。保護区の周りでは今も伐採が続いている。



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