Borneo旅行 Aug/2001 NO1

7月30日(月)から8月11日(土)まで、ボルネオ島へ旅行しました。
今回は旅行というより、純粋の調査といった方がいいかもしれない。
テナガザルがどんな生活をしているのか、あの声は何を意味しているのか、知りたいというわけです。
これまでに、いろいろな方が調査されているのですが、もっと他にも面白い行動が観察できるのではという気がしています。
それに、調査で何も分からなくても、あの素敵な原生林の中を歩き回るだけでも幸せですから。

はたしてテナガと出会えるのかどうか疑問でしたが、結果的には、8月2日(木)から8月7日(火)まで、連日テナガを追いかけることができました。そのうち2日間は、朝起きるところから、夕方寝るところまで追跡できました。
対象の群れはボルネオ・レインフォレスト・ロッジ(マレーシア・サバ州、ダナンバレー、北緯 5°00’51”東経117°44’51”)の周辺をなわばりにしている群れで、6人家族。

詳しい調査報告は別の英文ページをご覧下さい。

borneo1.jpgcfececa.jpg (49779 バイト) ボルネオレインフォレストロッジ

ノ酲bノWヌテ鮃・ヌ・・.jpg (30178 ノoノCノg)  ロッジの若者たち

詳しい報告は英文ページを見ていただくとして、ここでは、テナガザルの調査で気のついたこと、分かったことなどを箇条書きにしてみます。(ただし、これはある一つの群れだけの話で、これが一般的かどうかは分からない。)

@彼らは、朝は5時45分頃起きる。うっすらと周りが明るくなる頃だ。夜中に起きることがあるかもしれないが、寝場所を移動するということはないらしい。そして、午後3時前には一日の行動をやめる。その場所はたいがい高い木のところで、そこで夜を過ごす。
ということは、一人で追いかける場合、朝は5時に起きて軽く何か食べておいて、昼食は弁当を用意しないといけない(これが一番難しいこと)。

A一日の行動は、食べること、運動(移動)すること、休息すること、この三つの繰り返し。

Bなわばりの中に、大好きな木の実が熟している木が幾つかあって、そこは頻繁に訪れる。ということは、見失った時はそこで待てばよい。
つまり、彼らの気に入った移動ルートが存在する。

Cそのような木には1時間〜2時間くらい滞在することもある。ひとしきり食べると、移動して休憩する。休憩の時は物音がしないので、まかれたかと心配になるが、じっと待っていれば、また動き出すので、その音(木の枝がざわめく)で位置がわかる。

D移動速度は速くない。9時間かけておよそ1kmくらい(最大で1270m)の速度なので、歩いて追跡できる。ただし、なわばりの中を小さな川があって容易に渡れないというようなフィールドでは難しい。
考えてみれば、熱帯の高温多湿の気候の中では、連続した激しい運動は体温を上げるだろうし消耗も激しいハズ。だから、運動能力は優れているけれども、無理しないで自重しているという感じ。
今回の6日間に移動した範囲の面積はおよそ13ha。これはインドネシア・カリマンタンでLeighton (1987) が15ヶ月間調査したテリトリーの平均36haよりはるかに小さい。彼らのテリトリーはもっと広いと考えられる(これは後に誤りであることが分かった25haが正しい)。

E歩いて追跡とはいうものの、絶えず上を見上げていないといけないし、それも9時間連続で毎日ということになるとかなり体力を消耗する。

Fコールは6日間で一回だけだった。5:52から6:40まで(これはmaleのsolo songと考えられる)。この日は前夜に大雨が降って朝もやがかかっていた。天気とは関係ないらしい。なわばりを宣言するならもう少し頻繁にコールした方がいいと思われる。コールの意味が分からなくなってしまった。
(注:Dr.Thomas Geissmannからのメールによると、いくつかの種類のテナガでは、乾期よりも食べ物の果実が豊富な時の方が、またテリトリーが低密度よりも高密度の時の方が、コールの頻度が高いという。つまり、食料を得るためになわばりを宣言しなければならない状況の時に頻繁にコールをするのだろうということ。さらに、ボルネオとジャワのテナガのオスは、時に早朝4:30(周りは真っ暗)にコールすることがあるという。これを聞き落としている可能性もある。)

テナガの声→ button_sound.gif (231 バイト)

G私が追いかけた群れは、父、母と赤ちゃん、子ども3人の計6人家族。ただし、本当に家族かどうかは分からない。これだけ多いと、移動する時にお互いにはぐれる時があるだろう(実際に離れた時があった)。そういう時にせっかく大きな声を出せるのだから、会話したらいいと思うのだが、声を出さない。(小さな声を出しているのでは、と感じた瞬間が2回ほどあったが、確証はない。)不思議。

H木の実だけでなく、木の葉をよく食べる。

I水は、木のうろに溜まったのを手で汲んで飲むのを目撃した(これは前回も)。ただし、手のひらでちゃんとすくえないので、よくこぼれる。

J休息の時、二人で近くに座って、一人がもう一人の体を手で触る。そっとなでるような感じ。これがグルーミングなのだろうか?ただし、お互いに触り合うということはなく、どちらかが一方的に触る場面しか見れなかった。

K二人でじゃれ遊びをしている場面を見た。

L今回、これほど密着して観察できたのは、彼らが普段から人間に接していて、人間に対して危険を感じていないからだろうと思われる。目と目が合っても逃げない。

Mなわばり社会というのは、閉鎖的な社会だ。そこから出て他の多くの人と交流したり、見知らぬ世界を体験するということがなく、いつも同じところをぐるぐる廻って同じ顔を見て過ごす、という生活。封建社会の鎖国状態(江戸時代)を連想してしまった。進歩のない社会。けれど安定はしているかもしれない。

Nただし、なわばり内の木の実が不作だったら、とたんに飢餓状態に陥る。猿たちはどの猿も同じ木の実を食べているのだから大変だ。そういう時にはなわばりを出て行くことになるのだろうか?そして隣の群れと争いが起きるのかも。そのあたりの隣人関係を詳しく知りたい。

Borneo旅行 Aug/2001 NO2

テナガザルの興味深い行動
食事

葉を取る2.jpg (32924 バイト) 長い手で木の実を取る

テナガ採食風景1.jpg (20131 バイト) 葉っぱを食べる

細い枝を食べる.jpg (37072 バイト) 細い木の枝も食べる

葉をくわえる.jpg (31719 バイト) 葉っぱを口にくわえる

イチジクの実.jpg (23454 バイト) イチジクの実   木の実.jpg (26576 バイト) medang?という木の実

上記二つの種は大好物。

テナガの糞.jpg (31867 バイト) 糞の中に種があった

Borneo旅行 Aug/2001 NO3

テナガザルの興味深い行動
ふれあい

ツーショット2.jpg (32592 バイト) 二人で休憩中

脇腹をなでる.jpg (25479 バイト) 脇腹をなでる

背中にそっと触れる

寝ている体をわわる.jpg (27588 バイト) 寝ているテナガに上から手が伸びてきて肩にさわる

babyをつかむ.jpg (35526 バイト) 兄弟(or姉妹)のじゃれあい。赤ん坊の背中を兄さん(or姉さん)がひっつかまえた。

Borneo旅行 Aug/2001 NO4

テナガザルの興味深い行動
二足歩行


高ーい木の上を二本足で歩く。QuickTime video file→button_video.gif (221 バイト)

人間では、歩き始めの赤ん坊がこんな姿勢をとる。

昼寝

昼寝.jpg (20037 バイト) 手を頭の下にしいて昼寝。この姿勢、ヒトに似てますね

水飲み

飛び散る水.jpg (33326 バイト) 飛び散る水

わかりにくい写真ですが、木の後ろにいるテナガが、木のうろに溜まった水を手ですくって飲もうとしているのだが、うまくすくえず、こぼれるシーン。

テナガの顔.jpg (36702 バイト)

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